<ブレーキ/クラッチのエア抜き>

個別の整備項目で書いてはいるのだが、別でまとめてみたくなったのでここに記載する。

バイクの整備をしていくと、ブレーキ/クラッチフルードの交換作業に手をつけるようにもなってくると思う。

一番簡単な方法は、リザーバータンクの蓋を開け、キャリパのブリーダーボルトに径の合うシリコンホース(ホームセンター等で売っているので十分)を繋ぎ、ホースからの受け皿を用意し、(無いならペットボトルで十分)
リザーバータンク内のフルードが切れてエアが混入しないように注意しつつレバー/ペダルを操作し、フルードを排出する。フルードを足しながら続行し、排出側からも綺麗なフルードが排出されるようになれば、 適当に終了。

この方法ならばフルードは完全には入れ替わる訳ではないが、エアの混入が殆ど無い上に技術も道具もあまり必要ない。キャリパーやマスターシリンダーを触るほども無いような1〜2年程度毎のフルードのみの交換作業ならばこれでも良いと思われる。(やらないよりは格段にマシ)

次に、、、ブレーキホースを(社外品に)換装したとかキャリパーやマスターシリンダーをO/Hした際にはどうしてもエア抜きが必要になってくる。

フツーの方法でやるのならば、、、
道具もあまり無い場合には、リザーバータンクを満たし、キャリパのブリーダーボルトに径の合うシリコンホースを繋ぎ、ホースからの受け皿を用意して、ブリーダーボルトを緩めておき、地道にレバー操作でフルードを送っていく。

これはなかなか根気の要る方法だ。まず空気は気泡となって上からリザーバータンクから抜けては来る。スカスカのレバーを握って、弾くように離す。
気長にコレを繰り返しつつ、中途のホースをコンコンとドライバーの柄やゴムハンマーで軽く叩いたりして、気泡の引っかかりを無くすよう努力する。下からフルードが排出されるようになったら、一度ブリーダーボルトを締め、レバー操作が手ごたえが出るようになるまで上から気泡を抜く。

手ごたえが出るようになったら、、、レバーを数度握り、握ったままにしてブリーダーボルトを緩め、気泡とフルードが排出されたら締める。コレを気泡が出なくなり、マトモにブレーキを握った際の手ごたえが出るまで繰り返す。注意点は、フルードの飛散(カウルは割れるし、塗装は落ちるし、人体にも良くない、、、)と、リザーバータンクのフルードを切らさないこと。切らすとエアを送り込んで元の木阿弥である。独りでも可能だが、二人でやるほうが楽だし、注意も行き届くので良い。

これに道具があれば、注射器を使ってエアを下から吸い出したり、コンプレッサー+チェンジャーならエアの力であっさり作業は可能だ。ワンウェイバルブがあれば、シリコンホースの中途に繋げばそれだけで戻る事が無いので楽になる。

CEOが好きな方法は、注射器(シリンジ)を用いて下からフルードを入れていく方法だ。専用の特工(ハスコー製)もあるのだが、フツーのシリンジ+シリコンホースで十分。(※低コスト ストレート製ロック機構付ブリーダーホースを使うのも良いだろう)
ブリーダーボルトを緩め、キャリパーとブレーキホースのバンジョーボルトは緩めておき、ブリーダーボルトにホースを繋いで、シリンジからフルードを押し出していく。ジョイントからフルードが漏れてきたら、中断しジョイントを締めて、上のバンジョーボルトから漏れるまでシリンジからフルードを押し出していく、を繰り返す。リザーバータンクまでフルードが上がって来たら一旦終了。

あとは、、、キャリパーのピストンを押し戻す事で、気泡ごと上にフルードを送る。(所謂逆噴射)この作業には、Fクランプかコジり用にマイナスドライバーで十分。(抉る際は、ブレーキパッドを使ってパッドを抉ること)
これを十分な手ごたえが出るまで繰り返し、最後にキャリパを組み付けて、一度普通のエア抜きを行う。気泡が出なくなれば終了。

あと、、、ブレーキレバーを完全に戻さずにアタリが出るまで二、三回握り込み、握った状態で固定し放置しておく。

リヤでも同じようにストロークさせ、引っかかる位置に横棒でも突っ込んでペダルを下がった状態に固定する。若しくは2Lペットボトル+水等でバラストを作って吊るす。

これをしておくとキャリパシール部のゴムの分子の大きさより空気の分子の大きさは小さいので、エアは少しづつ抜けていくのだ。固定用には不要タイヤチューブの輪切りが良い。無い場合は輪ゴムを大量とか、タイラップとかでも良い。

ブレーキは重要保安部品で、リアルに生死に関わってくるのでDIYでやるのならば、作業後はキチンと動作等確認すること。フルード交換、エア抜き一つでも徹底的にやれば違うので是非徹底的にやってもらいたい。
しょーもないメッシュホース化やマスターの交換で悦に入るよりは、余程重要で有益だ。(弊社の顧客ですから、そういう層は少ないと思うのですが)

ブリーダーボルト内部のフルードをパーツクリーナーで飛ばし、シリコングリスを塗布して腐食を防いでおく。
作業終了後にはフルードの飛散跡に注意。念のため洗車をすればより良いのだが。自分の手も極力早めに洗うこと

2008/06/22